日本でとれる梨は大きく3種類
日本で栽培されている梨は、大きく「和梨」「西洋梨」「中国梨」の3種類に分けられます。
日本で最も多く栽培されている和梨は、50種類以上あるといわれており、中でも生産量が多い品種は「幸水」と「豊水」です。
西洋梨は「洋梨」としても販売されているもの。名前からして輸入物のフルーツをイメージしますが、実は多くが日本産です。
種類もひとつではなく、日本で最も多く収穫されているのは「ラ・フランス」になります。
中国由来の中国梨は、国内での栽培がそれほど盛んではありません。生食のほか、加工品としても流通しているものの、そもそもの栽培量が少ないため、見かける機会は少ないでしょう。
そのため、この記事では、日本で広く親しまれる和梨と西洋梨について紹介していきます。
和梨の特徴と代表的な品種
「梨」と聞いてほとんどの人の頭に浮かぶであろう、シャキシャキとした食感の梨が和梨です。
和梨には、外皮が赤みがかった黄色で強い甘味のある「赤梨」、緑がかった黄色ですっきりした甘さを感じる「青梨」があり、旬は8月頃〜10月頃まで続きます。
東北から九州まで広く栽培されていますが、主要な産地は千葉県、茨城県、栃木県、福島県、鳥取県。
2023年は、この5県だけで全国の出荷量の4割以上を占めています(※1)。
和梨の代表的な品種とその特徴は、下記のとおりです。
※1 農林水産省「令和5年産日本なし、ぶどうの結果樹面積、収穫量及び出荷量」
幸水(こうすい)
幸水は、甘い果肉が人気の赤梨で、2021年の時点で、日本で最も多く収穫されている梨です。
比較的早い7月頃から出回り始め、8月のお盆あたりをピークとして9月頃まで楽しめます。
梨の生産量随一の千葉県では、栽培されている梨のおよそ5割を幸水が占めています。
豊水(ほうすい)
2021年時点で、幸水に次いで生産量が多いのが豊水。
幸水より少し大ぶりですが、外見はよく似ています。
甘味の中に程良い酸味があり、水分を多く含むのが特徴。
千葉県、福島県、栃木県、茨城県あたりでよく収穫され、幸水より少し遅い8月頃~9月頃まで旬が続きます。
新高(にいたか)
新高は、大きくてやわらかい実の中に上品な甘さを秘めた、酸味が少ない赤梨。
熊本県を筆頭に、千葉県や新潟県の生産量が多く、10月に最盛期を迎えます。
保存性が高く、贈答品としても好まれる梨です。
新甘泉(しんかんせん)
新甘泉は鳥取県のオリジナル品種で、2008年に品種登録された新しめの赤梨。
鳥取県でしか収穫されない上、旬は8月下旬~9月上旬とかなり短いため、流通量は限られます。
糖度は13~14度と梨の中でも高め(※2)で酸味が少なく、梨に芳醇な甘味を求める人におすすめ。
※2 和梨の糖度平均は10度程度といわれている。
二十世紀
9月に旬を迎える、青梨の代表的な品種である二十世紀。
鳥取県が国内栽培量の約3割を占め、県を代表する果物として特産品にもなっています。
シャキシャキした食感が特徴的で、甘味と酸味のバランスが良く、香りも濃厚です。
ゴールド二十世紀
ゴールド二十世紀は、二十世紀を改良して生まれた梨。
二十世紀よりも病気に強く、栽培しやすい品種です。
鳥取県で最も多く栽培されており、8月頃~10月頃までが旬。
味わいは二十世紀と大きく変わらず、ジューシーでやわらかめの食感です。
あきづき
あきづきは、新高と豊水、さらに幸水を交配させた品種。
親である豊水と糖度は大きく変わりませんが、酸味がかなり少ないため、より甘味を強く感じられるのが特徴です。
千葉県や熊本県が主な産地で、9月上旬〜下旬に収穫、出荷されます。
南水(なんすい)
シェアのほとんどを長野県が占める赤梨の南水は、9月下旬~10月上旬頃が旬となっています。
梨の中でもトップクラスの糖度を誇り、果汁が豊富。
室温でも1ヵ月程度OKという保存性の高さも魅力で、シャリシャリした食感を長く味わえます。
にっこり
新高と豊水を掛け合わせた品種で、栃木県の特産品であるにっこり。
実が非常に大きく、中には1kgを超えるものもあります。
10月中旬~11月頃に収穫される晩生種で、しっかり熟した濃厚な甘味が魅力です。
新興(しんこう)
新興は梨の中でも最も遅い時期に収穫される晩生種の赤梨で、10月頃に旬を迎え、翌年まで出荷されます。
新潟県を筆頭に、大分県や鳥取県などが主な産地です。
果肉がやわらかく、甘味と酸味のバランスも◎。
西洋梨の特徴と代表的な品種
中国を起源とする、ヨーロッパ原産の西洋梨。
世界には約4,000種の西洋梨の品種があるといわれていますが、日本で栽培されているのはそのうち20種類程で、ほとんどは9月下旬頃から収穫が始まります。
形は小さい軸からお尻にかけてふくらむひょうたん型。
実はやわらかくとろけるような舌触りで、和梨とはまったく別の果物のように感じられるかもしれません。
2022年度の調査によると、西洋梨の出荷量が最も多いのは山形県で、次いで新潟県、青森県、長野県となっています(※3)。
西洋梨の代表的な品種とその特徴は、下記のとおり。全体的に、和梨よりも糖度は高めといえるでしょう。
※3 農林水産省「令和4年産西洋なし、かき、くりの結果樹面積、収穫量及び出荷量」
ラ・フランス
西洋梨といえばラ・フランスというほど知名度が高く、日本でとれる西洋梨の中でも生産量が最も多くなっています。
繊細で栽培難度が高く、食べ頃が見極めにくいことから、今は日本でしか栽培されていません。
山形県を主要産地として、青森県や長野県でも栽培されており、10月中旬頃~12月頃までが旬。
実はつるんとしていてやわらかく、とろけるような食感で、強い甘味を感じることができます。
オーロラ
オーロラは山形県で主に栽培され、西洋梨の中で最も早く、8月中旬頃から出荷が始まります。
果肉はラ・フランスに近いしっとり滑らかな食感で、外皮が緑色から黄色に変わるタイミングが食べ頃。
生産量が少ない上に熟しやすいことから旬が短く、希少価値は高めです。
バートレット
青森県や北海道を主要産地として、8月末~9月初旬の短期間に旬を迎えるバートレット。
やや小ぶりですが果肉が滑らかで、甘味と酸味のバランスが抜群。
収穫後、1~3週間程度追熟させると甘い香りが強くなり、食べ頃となります。
ル・レクチェ
フランス原産のル・レクチェは、糖度16度以上と濃厚な甘さが人気の品種。
病気に弱いため、安定生産が難しく、さらに追熟期間も長いことから、生産には細やかな気配りが欠かせません。
現在、日本での栽培は新潟県に集中しており、長い追熟期間を経て11月下旬~12月下旬の1ヵ月程度しか出回らないことから、貴重な西洋梨といえます。
和梨・西洋梨のおすすめの保存方法
梨をおいしく食べるためには、保存方法も大切。
和梨と西洋梨とでは、おすすめの保存の仕方が異なりますので、それぞれ解説します。
和梨の保存方法
和梨は追熟しないため、常温で保存すると果肉が崩れて水分が失われます。
届いたらすぐに段ボールを開け、ペーパータオルで1つずつ包みましょう。
さらにラップで包んだら、まとめてポリ袋に入れて冷蔵保存します。
鮮度をより長く保ち、全体に甘味を行き渡らせるために、軸(ヘタ)の部分が下になるように置くことをおすすめします。
西洋梨の保存方法
西洋梨は追熟する果物です。
届いた時点で熟していないものは、常温で保存してください。
新聞紙などで1つずつ包み、風通しの良い場所に置いて熟すのを待ちます。
早く食べたいときは、りんごといっしょにポリ袋に入れておくと追熟が進みますよ。
一方、完熟の状態で届いた場合は、あまり日持ちしません。
ラップで包んでポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で保存して、なるべく早く食べきるようにしてください。
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日本で収穫される梨は、和梨、西洋梨ともにさまざまな品種があり、それぞれに異なる味わいがあります。
梨のシーズンは、ここでご紹介した品種を参考に、気になる梨を取り寄せてみるのもおすすめです。
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